「千歳くんはラムネ瓶のなか」5巻 感想


ネタバレあります!

気をつけてください!





章立てとエピローグ



目次を見て、あ、いつものあれがない

って気付きました。

そこで、あ、この巻は終わらないぞ……

そしてそれは多分、あの子が動くから

なんだろうなと。



エピローグの「特別」と「トクベツ」、

夕湖の物語を始める上で最高の幕開け

だった





本編



12ページの12行目からの描写って、

物語が夕湖から優空へ移っていくよ、

ってことなのかなと思った。



5巻は今までの構成と違って、ラスト以外は大きな事件は起こらず、それぞれの気持ち、それぞれの心情の描写が多かった。




今回、私が注目したのは夕湖と悠月。


5巻での悠月の心の内、めちゃ切なかった。

悠月が優空の料理してる姿を見てて、

でも優空と朔の絆の形は真似できないし、

もちろん他の女の子たちのそれだって。


自分は朔に何も与えられてないなんて、

そんな悲しいこと言わないでって

切なくて仕方なかった。




それと、悠月の事件のときの夕湖の

気持ちが辛すぎた。


そうだよな、

自分がしたくてもできない恋人と

しての行動をして、

周りにもそういう風に見られて、

羨ましい気持ちが出てくるの

なんてなんにもおかしくない。


でも、それは悠月を助けるため。

みんながいいやつだからこそ、辛い。



あと、花火大会で朔と悠月が2人きりに

なったとこ。

悠月頑張ったなぁ頑張ったよね。

わかるぞ。


でも10発だけか………切ないなあ。




夕湖と悠月はそれぞれ違った「特別」な

女の子。


夕湖は特別なまま生きてこられたから、

普通を求めてモヤモヤを抱えてた。

悠月は「ただの特別なままでは上手に生きていけない」と気づいたから、

頭を使って問題をかわして生きてきた。



悠月が夕湖と仲良くなれて嬉しい、と

思ってたのもなんとなく意外でしたね。

いや、別に不自然なことじゃないんだけど。


悠月は本当に優しい女の子なんだよね。

だから、夕湖を傷つけたくない、

裏切りたくない




5巻まで通して思うのは、チーム千歳が

みーんないいやつだってこと。

だから辛いんです。

私はこの人が好き、という想いだけで他を

無視して突っ走ることはできない。


悩んで、考えて、悩んで。

なぜならみんなが優しくて、

みんながみんなを大切だと思っているから。




夏勉のバスから降りたあと、夕湖の一言で、

あ、きた……って。

やっぱりこの5巻は終わらないな、と。

私も覚悟を決めました。



でも、この流れの作り方も、選んだ場所も、みんなの前で実行することも、

全てが夕湖らしいと思った。

これから起こることを考えたら怖くて仕方ないのに、妙に納得感があった。



でも一番驚いたのはその後で。

優空がここで来るなんて思わなかった。

しかも朔以外の大切な人を捨てて。



けど、とっくに優空はこれから起こるであろうことへの覚悟を決めて、自分に問いかけて、答えを見つけていたんだなって。



彼女は誰よりも目立たないように朔を見守ってて、そして誰よりも腹が決まってた。





今後の展開



これからチーム千歳はどうなるんだろう。


リアルに考えたら、自分を振った人、

自分が振った人とあと7ヶ月同じクラスで

過ごすなんて地獄のはずで。



みんなが大切に想ってきた「いま」の

関係性が過去のものになって、

彼らは何を思ってどう行動するんだろう。



個人的にはチーム千歳が危機の今、

亜十夢やなずな、蔵センといった人たちが

活躍してくれないかなーと期待していたり

します。



健太が朔のところに行く展開もいいな。

5巻での1巻の伏線回収が悲しすぎたぶん、

今度は1巻の朔のセリフを使って、

明るく彼を引っ張りあげてほしい。なんて。



夜が明ければ朝が来るように、

破壊のあとには再生が来ると信じて。

チーム千歳がより強く、

よりしたたかに成長することを信じて、

6巻を待っていようと思います。




って締めようと思ったけど、

これもう次の巻で終わるんじゃね?

ってぐらいの感じだよね…………